ヒナタノオト
作品展に寄せて
Q1
ヒナタノオト・伊勢丹展で毎回新鮮な布の世界を新宿から発信くださる舞良雅子さん。
今回はどのような作品を出品くださいますか?
A1
絹糸をフサのように一本ずつ織り込んだネックウェアやストール、
リネン素材のシンプルでラフな風合いの巻物、
ウールに少しずつ色々な素材を織り交ぜた薄いけれど空気をたっぷり含んだストールなど、
1枚ごとにどこか違うデザインに仕上げたものを制作しました。
Q2
舞良さんの工房の中で一番好きな、あるいは大切なものについて教えてください。
A2
養蚕が岩手で盛んに行われていたころの糸車を使っています。
祖父母の家でそれを見つけた時は何十年も屋根裏に置かれ壊れていました。
ちょうどその少し前に機の道具を買い揃えたばかりで、新しい糸車がすでにありましたが放って置くには惜しい気がして自分で直すことにしました。
古道具屋をまわり、良さそうな部品を探して木や竹で補強しながら調整を繰り返すと、それまで使っていたものより機能的で糸にも良いものでした。
巻き取られる糸の微妙な張り具合が手に伝わりやすく、糸を傷めないように扱うことができるのです。
また使う者にとっては自然な腕の運動がそのまま動力となって、疲れにくく効率的なことにも驚きました。
それから35年になりますが、どんな糸でもスイスイ巻き取り、唸りながら撚りをかけ、今も変わらず私の仕事を支える大切なものです。
織りの道に進まれた20代のころに出会い、使い続けてきた道具。
それもご先祖様ゆかりのものと。
古き良きものを尊び、今を愉しみ、未来に目を向ける。
舞良さんの布の魅力の一端を感じさせていただいた文章、ありがとうございます。
今回も新作鮮やかな展開。
舞良さん、在店したいお気持ちながら、盛岡在住でいらっしゃるので、ご上京は見送られました。
スタッフでご案内いたしますので、巻き巻き、そして布の広やかな世界、お愉しみください。
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