スタッフブログ
ヒナタノオト日誌
手のひらのハマスホイ
2020.02.129人の作り手による『ハマスホイの時間』展会期は折り返しを迎えます。
それぞれの作り手の方とのご縁を育み紡がれたことが今回の企画展となっていることを感じ、ご紹介させていただくことに日々幸福な時間をいただいています。
ご覧くださいました皆様、それぞれに想い、時間をお過ごしくださった方もいらしたと思います。
まるで、美術館を訪れたときのように感じ方はさまざまに。
心にほわっと浮かんだものを言葉にこめてご紹介させていただきます。
光
hyakka/wall shelf・花器
オーダーで木工の家具を製作されている岡林厚志さん。
空間の中のを切りとる光の風景が印象的です。
壁に掛けられる飾り棚があることによって、室内の中の内と外が緩やかにつながって、
天気や季節によっていく通りにも変化する光が暮らしに様々なシーンをつくります。
田井将博さん/輪花豆鉢・輪花平鉢・輪花モール 7寸
田井将博さんのガラスの器。
ヒナタノオトでははじめてのご紹介となります。
ガラスを通して室内に広がる光の粒子の陰影。
ハマスホイの室内画に描かれる、窓枠を通して差し込む光の色調に似て、空間に新鮮に渡ります。
サイズも様々にご紹介しております。
時間
田屋道子さん/ピッチャー・sugar-salt・カトラリーレスト・リム皿(アーティチョーク)・マグカップ(アーティチョーク)
ヨーロッパの風を纏ったような田屋さんの白の器
母から娘、娘から孫へと、時を経ていつも家族の真ん中にあって暮らしをまあるくするような温もりを感じます。
それは家族団らんの風景のように。
ハマスホイの絵に描かれているアーティチョークの蓋物。
田屋さんの器のモチーフもアーティチョークが描かれています。
世良順さん/ピンバッチ ネズミ家の肖像
真鍮、銅、silverなど金属の美しい経年変化もお楽しみいただける世良順さんの装身具。
愛らしくもゆきとどいた手しごとで、大人の装いにおすすめです。
ハマスホイも描いた自画像や親しい人々の肖像画。
ネズミ家の他に、ウサギ家、白いとり家、ミミズク家のピンブローチをご覧いただけます。
上品で楚々とした装いの小粒のパールの作品も。
色
高見由香さん/ストール(カシミヤ、シルク)
『若いブナの森、フレズレクスヴェアク』ヴィルヘルム・ハマスホイ
(ストールのイメージをされたハマスホイの絵。「ハマスホイとデンマーク絵画」展図録より。)
光の色は何色だろう。
目に映るものはには全て、当たりまえのように色が溢れているけれど、高見さんの織る布にふれるたびに、光の色が織り込まれているような感覚になります。
それは自然の中に身をおいて、深い呼吸をするときのような、一呼吸ごとに解け放たれていくような幸福感に似ています。
シルク、カシミヤ、麻などの素材に染め織り上げられた布。
五感で感じる色の世界をお楽しみいただけますように。
気配
竹口要さん/脚付ピッチャー・カップA・オーバルプレート
竹口さんの器は、一見すると端正でシックな佇まい。
周囲の空気を吸い込んでもなお寛容さや大らかな姿でそこに在る大きな木のような、手に触れるとしっとりと優しい気持ちになります。
ハマスホイの絵に描かれている器が纏う、大切に馴染んでいるのだろうと想像し、その人の暮らしの気配になってゆく器です。
ブルーグレー
キムラヤ/浅コーヒーカップ
ハマスホイのブルーグレーの色を想うカップやお皿など。
目で見ていた色合いが、土の質感と共にしっとりと手に馴染みます。
他にもグリーンや黒の色調の器を。
お料理やシーンに合わせてお楽しみいただけます。
谷田貝陵子さん/山羊革バネ口SD
山羊革独特のふっくらと優しい質感のバッグと革小物を出品くださった谷田貝陵子さん。
見る角度や光によってブルーグレーの表情が新鮮に映ります。
母
繍 ぬいとり/オトモバッグ Garden
北海道で制作されている羽田さん。
デンマークと北海道はどこか似ていると伺いました。
ハマスホイの絵に描かれている針仕事をする女性の姿から、羽田さんのお仕事をされている姿を想像しました。
刺繍糸を一本取りで、身近な草花をモチーフに刺繍している羽田さん。
北海道の自然の中で芯のある優しさで咲く草花、デンマークにもそんな景色が広がっているのでしょうか。
昨秋デンマークを訪れた後の作品をゆっくりとご覧ください。
東京都美術館で開催中の「ハマスホイとデンマーク絵画」展。
ハマスホイの室内画をみていたら、本で読んだり、訪れたことのある茶室を思い出しました。
いま ではない いつかの
ここ ではない どこか
遠い彼の地で、生まれる前の時代を生きた画家の絵から、幸福な贈り物をいただいた気持ちになりました。
見る方お一人お一人の心に響く展を、ぜひ合わせてご覧くださいませ。
中川碧沙
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