スタッフブログ
ヒナタノオト日誌
今井和世さん、加藤キナさん、在店予定@木曜日
2022.06.1516日木曜日、開店後から夕方くらいまで、今井和世さんと加藤キナさんが在店くださいます。
作家のお話も添えて作品鑑賞いただける時間、ぜひお出かけくださいませ。
さて、今日は、加藤キナさんの作品のご紹介を。
:::
鹿革を使って作品を制作されている加藤キナさん。
「北欧のゆかり」展のために、お財布を2点制作くださいました。
今回制作いただいた作品は、それぞれにアンデルセンのお話が題材となっています。
どちらも未来への希望を感じさせてくれる作品です。
1点は「人魚姫」、もう1点は「絵のない絵本」より「第28夜 海を渡る白鳥」。
作品とともに、お話からの一節をご用意くださっていて、店頭では作品とともに展示させていただいています。
「人魚姫」というと、悲しい結末のお話というイメージを持っていましたが、希望を感じさせる結末なのですね。
空に目を向けている人魚姫、希望に向かってはばたいている白鳥、どちらもじっと見つめていると心が明るくなっていくように思います。
加藤キナさんは、獣害のために駆除される鹿の革との出会いをきっかけに、鹿革での制作に取り組まれるようになりました。
制作はすべて手縫い。
そして、今回の作品のように鹿の角を彫って作られたモチーフが添えられた作品も制作されています。
革製品というと牛革が一般的ですが、日本では古くから鹿革が使われ、刀剣の鞘や被服、足袋などにも利用されてきました。
東大寺正倉院にも、鹿革製のものが保存されているのだそうです。
鹿革は繊維が細く、軽くて丈夫。
また、通気性がよく独特のねばりのある質感を持っています。
毎日使うお財布にはぴったりの素材です。
飼育された動物と違って革ごとに個性があることも特徴の一つです。
作品に添えられているカードには、こんな言葉が書かれています。
「その傷は、美しい白樺の木がつけたものかもしれない。
形の中にかくされた鹿の物語に耳を傾けてみてください・・」
自分とは違う時間を生きた鹿の物語と、アンデルセンの物語、そして使い手の物語。
作品を通して新しいストーリーが紡がれていくことになるのかもしれません。
作品をお入れする箱は、加藤キナさんの手作り。
絵は、今井和世さんが描かれた作品です。
文 ・瀬上尚子
写真・中川碧沙
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