ヒナタノオト
作品展に寄せて

早いものでヒナタノオトでの「ハマスホイの時間」展も、15,16日の二日を残すのみとなりました。
(最終日16(日)は16時まで)

思い切って行った企画でしたが、作家の方々によって豊かな会に膨らませていただきました。
初日などはほんとうに多くのお客様が来られて、そしてそれが作品の取り合いのような感じではなくて、じっくりと見ていただける時間だったことも喜びでした。

「ハマスホイの時間」と銘打ちましたが、開いてみればもっと作家にぐいぐい??切り込んだり、投げかけてみてもよかったなぁ、という点もあります。
もっと、ハマスホイと響かせた展開になったという伸びしろのようなものも感じています。
けれど、今展を通して、ハマスホイの絵やデンマーク絵画、そしてデンマークを巡ってのあれこれに興味を持ってくださった方が多かったこと。
作家の方々、見に来られる方々の共通の焦点を示しながら、その焦点から広がっていくような面白さを感じました。

次回の企画展の「灯し、照らす4人の仕事」のときにも、夕方などこのハマスホイの時間から続くような展開をしてみたいと思います。
私がデンマークで何度も感じたリアルヒュッゲ!の片鱗でもお伝えできるように。
キャンドルのもと、こっくりとした時間を楽しんでいただけるように。。。

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都美のハマスホイとデンマーク絵画展は3月26日までです。
ぜひ、お早めにどうぞ!

会場では4章に分かれた構成で、ハマスホイは最後になります。
前の3章もおすすめですので、ぜひゆっくりと。
そして、有料ですが、宮沢りえさんの説明の音声も借りられるといいですね。

この絵に描かれているロイヤルコペンハーゲンのパンチボール。
会場内に本物が来ています!
そして、このパンチボールを探し出したストーリーが、「光の本」に綴られています。
改めて読みましたが、すごい!ことですねー。
ひとりの研究者のパッションが実って、今、上野にこうして置かれてあって、多くの人の心に何かを奏でている。

『・・・視界の隅にどこかで見覚えのある器が映ったのです。
一瞬、その器に釘付けになった私を見て、「これはハマスホイの家にあったものだよ」とFさんは教えてくれました。
そう、それはまぎれもなく、100年前にストランゲーゼ30番地にあった、あのパンチボウルだったのです。
近づいてよく見てみると、全体にひびが入っていて、一度粉々に砕けたものであることがわかります。
その破片を、針金のような小さな金属片で一つ一つつなげて修復していました。
金属片で留められた破片と破片との間には小さな隙間ができていて、その小さな隙間の集積によって、蓋と胴体がぴったりとはまらなくなってしまったのです。・・・』

萬屋健司さんの文章、ぜひお読みください。
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このパンチボールのように、傷んだとしても人の心にその美しさをもって訴えかけてくるもの。
「ハマスホイの時間」で工藝作家たちと探りたかったのは、そういうものだったのかもしれません。