スタッフブログ
ヒナタノオト日誌
大胆で、こまやかに
2023.07.21アトリエラヒヨさん、安藤大悟さん、沖澤真紀子さんの三人展も、この週末、土日の二日間となりました。
初日の15日には、三名の作家さんがともに在店くださいました。
作家さんとお話しできる日を選んでご来店くださったお客様もいらっしゃって、豊かな時間が流れました。
オリジナルデザインの注染(ちゅうせん)てぬぐいを制作されているアトリエラヒヨさん。
今展にも多彩なデザインのてぬぐいをご用意くださいました。
工房名の「ラヒヨ」は「四葩(よひら)」を後ろからよんだもの。
「四葩」はあじさいの別名でもありますが、四つの花弁のお花も指すそうです。
はなびらが四枚のお花が昔からお好きなことから工房の名前にされたのだとか。
今展もいろいろな「四葩」の作品が店内を彩ってくれています。
アトリエラヒヨさんのてぬぐいはとても洗練されていて、現代の私たちの暮らしにすっとなじむデザイン。
また、日本独自の技法である注染で生み出される色柄は、染め分けやにじみがとても美しいのです。
汗や手を拭いたりという使い方以外にも、のれんのように使ったり、テーブルセンターのように使ったりと、暮らしに取り入れたくなる作品がたくさん。
そして、ご自身で手彫りされるという型紙を見せていただいたのですが、とても緻密なもの!
店頭でもご覧いただけますので、ご来店の際にはぜひ。
制作上どうしても生まれてしまう染めむらなどで、販売に向かなくなってしまった布を生かして作られた裂織りのマットやコースターも必見です。
布によってはもう一度染め直しも行い、裂いて織り上げたマット、コースター。
丈夫で丹念な手仕事ならではの美しさながら、上に載せるものを引き立てる奥ゆかしさもあって、日々の暮らしの中で重宝、愛されるアイテムとなっています。
アトリエラヒヨさんは、22日 土曜日と23日 日曜日にも在店くださる予定です。
時代を経たかのような趣を感じる陶器を制作されている安藤大悟さん。
器の表面に鎬の彫り文様が施されているのが特徴の一つです。
彫りの作業が一番楽しい、とおっしゃるだけあって、器の表側だけでなく裏面にも文様が施されています。
「彫っていると、ぴたりとはまる瞬間がある」というその文様は、作品ごとに異なっていて、一点一点に個性があります。
並んでいる作品を見ながら、自分の好みに合う子を探すのも楽しい。
また「青キ月光」と名付けられた釉薬の作品は青銅器を思わせる雰囲気。
ご自身が中国の青銅器がお好きなことから生み出されたのだとか。
三重県の「かおり野」という品種のいちごの葉の灰を釉薬として使った作品は、工房のある三重県のいちご農家さんとの出会いから生まれたそうです。
作者の心、土地との縁、その広がりが安藤さんの作品の豊かさにつながっているようです。
やさしい色合いと色とりどりの草花。
沖澤真紀子さんの作品の並んだ空間の空気感は、「心躍る」という言葉がぴったり。
描かれているのは特定の花ではなく、沖澤さんの想像力が生み出すお花です。
「水玉模様があったらかわいいかも」と思って描かれたお花など、自由で生き生きとした世界が広がります。
器の表面に下書きをして、そこに釉薬で描かれる植物。
お皿の裏側にまでお花が描かれている作品も。
その文様は、やわらかな白の釉薬に微量の金属を調合した様々な色の釉薬を使って描かれています。
窯に入れる位置を色によって調整するなど、繊細な行程を経て生み出される器。
色とりどりの作品の傍らで、「まだまだ作りたい色がある」とおっしゃる沖澤さん。
花に彩られた大きめの鉢、愛らしい形のマグカップ、お花が一輪ずつ咲いているかのような小皿・・・。
お茶の時間に加わってくれたら、楽しい空気が生まれそう・・・、と想像が広がります。
三者三様の作品世界。
胆大心小〈たんだいしんしょう〉。
まさに、大胆であって、細やかです。
ぜひ店頭でお楽しみください。
展覧会は23日 日曜日16時までご覧いただけます。
文 :瀬上尚子
写真:中川碧沙
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