スタッフブログ
ヒナタノオト日誌
灯りの庭
2020.02.26『ありがとうございました。』
暗くなったばかりの空は、こく一刻と深まってゆく気配の淡いグレー。
いつものように、空色の扉を傍らにお客様の背中をお見送りします。
今日は今日のありがとうございましたを。
この時は、いつもとはすこしちがうように見える背中に向かって。
「灯し、照らす 4人の仕事」展の初日の夕べは、
鈴木有紀子さんのろうそくを灯して、「ろうそくの夕べ」が開かれました。
鈴木有紀子さんのろうそくには、移ろいを重ねる美しさを感じます。
シンプルな灯り・L
内側に溶けてゆくろうそくは、物語を読みすすめてゆくように、だんだんと輪郭が浮かびあがってくるようです。
coyote/星、静けし森へ還る頃/ie (blue・white)
心地よい沈黙を纏い、時が刻んだ造形に、ほのかなアロマの香りが渡ります。
金の花園を通り抜けると・ブローチ|真鍮
金属にニードルで描くように腐食銅版画を制作する岩田圭音さん。
細やかな手しごとは気の遠くなるような時間が刻まれています。
灯りのもと、花の文様とそこに描かれた動物たちが金属の版に繊細に浮かびます。
銀の花池 銀の水鳥・ブローチ|楊伯
銅版画:金の花園を通り抜けると ・ 銀の花池 銀の水鳥
(銅版画と原画のブローチはセットでのご案内でございます。)
初日に在店されていた出展作家と、お客様と、ろうそくの灯る部屋にかこむ夕べ。
奇をてらうことなく、過ぎゆく今日の日をゆっくりと過ごしていただいたようです。
灯ったろうそくを目に浮かべ、ぽつりぽつりとこぼれた言葉は語らいの輪になって、時折笑顔で和む時間。
どの方も、いらした時よりも表情がほぐれているように感じました。
こころに灯した種火。
手しごとを通して交わされた会話や心の重なりが、
どうか明るく照らしますように。
木|片田学さん 長方まるトレー / 陶|二井内覚さん ティーポット・マグカップ 鉄白
会期は、3月1日(日)16:00まででございます。
最終日は、作者の岩田圭音さんが在店されます。
本日もろうそくの灯る部屋でごゆっくりとお過ごしください。
中川碧沙
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