スタッフブログ
ヒナタノオト日誌

こころの夏支度へ

2024.05.04

初夏のような日差しを感じる4月最後の週末、
「こころの夏支度」展が初日を迎えました。
ガラスのきらめきと、布が見せる様々な表情が展示されたギャラリー空間は、「夏支度」という言葉がぴったり。
週末二日間はchiffon glass 川西しほさん、豊田陽子さんともに在店くださり、豊かな時間が流れました。

ガラス装身具を制作されるchiffon glassさん。
小さなガラスの中に光を閉じ込めたような作品は、景色や肌を透かして様々な表情を見せてくれます。
「ガラスに集まる光をそのままアクセサリーにできたら」
作者のそんな思いそのままの作品です。
同じデザインの作品でも、クリアタイプとフロストタイプでは印象が随分と違うので、選ぶのも楽しい。

今回の新作「スカラップ」シリーズは、半円が描く模様を作りたくて考えた作品だとか。
ガラスでできた透明なレースのような作品は、ボリュームがあるのにみずみずしくて自然。
今までは棒状のガラスから作品を制作されていましたが、スカラップシリーズは板ガラスが使われています。
板ガラスでの制作はとても難しく、失敗も多かったそうです。
「失敗も多いけれど、失敗から学ぶことも意外と多い。
思ってもいなかったことができることもあります」と川西さん。
そんな積み重ねから生まれるきらきらとした装身具。

すでにchiffon glassさんの作品をお持ちの方も多く、
新たなアイテムを選ばれるお客様、
たまたまインスタグラムで作品を見て、「これは!」と思ってその足でご来店くださった方、
それぞれに作品に魅力を感じてくださっているのが伝わる時間でした。

自然素材の布に施されたさまざまな染め、その布を使って作られた豊田陽子さんのストールや洋服は身近な花々や自然の息吹を感じるような空気を運んでくれます。

まるで絵を描くように染められた手描き染め、
何度も刷毛で色を重ねる引き染め、
鍋で煮て染色する浸染、
型も自分で制作されている型染などさまざまな染めの技法で制作された布は、手染めならではの豊かな表情を見せてくれます。

豆汁で布に下処理をして、染料がにじまないようにしてから染め、乾かす。
その後、色落ちしないようにするために、蒸すこと約1時間。
一度に蒸せるのは、3~4mくらい。
そうした手順を経て染められた布が、豊田さんの作品世界を形作っています。

様々な花が描かれた作品「手描き染め リネンストール メドウ」は、まるで花ざかりの野原そのもののよう。
ちりばめられたたくさんの花々は「これがすべて手描き!」と静かな感動を覚えます。
壁に掛けたりテーブルに広げてもとても素敵。

フリンジ部分だけが美しく染め分けられたストールは、とても丁寧なお仕事から生まれています。
アウトラインを糊で防染してから、フリンジの色を染め分け、蒸して色を定着させてから、横糸を抜いています。

絶妙な色合いの洋服は、染めはもちろんデザインも豊田さんによるものです。
生地の風合い、リラックスしたデザインとディテールの愛らしさ。
初日から多くの方にお選びいただきました。
何点かをご試着されて、笑顔で「これを」と選ばれる方や、以前から豊田さんのお仕事を見てくださっている方も多く、笑顔が行き交う時間に。

5月12日は母の日。
chiffon glassの作品、豊田さんの作品、どちらも贈り物にもおすすめです。
今週末も晴れて夏のような暑さになりそうですね。
こころの夏支度、楽しんでいただけますように。

(5月5日日曜日16時以降、電話にてご希望を通販で承ります。
また一部作品は、、5月11日土曜日正午からオンラインストア「ソラノノオト」にて販売させていただきます)

文  瀬上尚子
写真 中川碧沙