ヒナタノオト
作品展に寄せて

土居祥子
滋賀 皮革
フィレンツェで出会った伝統工芸の革小物。
手の中で時と共に育っていく、ずっと使い続けたい革のもの。

Q1
土居祥子さん、今展にはどのような作品を出品くださいますか?

A1
フィレンツェの伝統技法で仕立てる革小物と、素材の良さを感じるシンプルな革のバッグを出品いたします。
今展に向けて新しく試みたレザーボックス、より使いやすいようにと形を改めたメガネケース、
自分の作りたいものにまっすぐに向き合ったバッグ。
この春を思って、冬に手と頭と心を動かして生まれた革のものたちを、ぜひご覧下さい。

Q2
土居祥子さんの庭にまつわるエピソードがありましたら、教えてください。

A2
近頃、庭で昼食とおやつの時間を過ごすことが多くなりました。
思いっきり深呼吸をして、ひととき身体をゆるめ、またぎゅっとした制作へと向かいます。

新しい住宅地に引っ越して4年、初めての庭に戸惑いながらも、好きな植物を植え、夏には家庭菜園と、少しずつ手を入れてきました。
庭のある暮らしは、日々のささいな変化に気付き、季節の巡りを強く感じるようになった気がしています。
せっせと活動する虫を観察したり、草花でおままごとをしたり、しぜんと近所のこどもたちがうちの庭に集まってくるようになりました。
こどもを追って、大人も集まり、楽しいおしゃべりの声が庭に響きます。
虫たちがたくさんいて、鳥がやって来て、そして人も、しぜんと集まってくる。
庭は、いろいろが寄り集まる場、そして生きる力が生まれる場なのだなぁと。
庭があってよかった、としみじみと思うこの頃です。

Q3
今展のメインビジュアルに描かれた草花の中で、出品作品にモチーフとしたものがありましたら具体的に教えてください。

A3
うちの庭にあるミモザとムスカリの色をモチーフに、コインケースを染めてみました。
色彩豊かな革のものたち、春の彩りを楽しんでご覧いただけましたら嬉しいです。

coltempoの工房名で活動をされていた土居祥子さん。
今展を機に、お名前での活動に切り替えられました。

縫い目のない革独特の曲線も美しい造形を生み出す技術を生かして、
オーバルボックスをぜひ作ってほしい!
とリクエストをしてみましたところ、素敵!!に完成くださいました。
ここに至るまでには、さぞや試行錯誤が繰り返されたことと思います。
リビングや玄関口にあったらとっても素敵ですよね、オーバルボックス。

他にも、春の庭を想って新色も手掛けてくださいました。ミモザとムスカリ!ですって。
今展初お目見えのカラーからお選びになるのも楽しいですね。
そして、すっきりと使い心地のよいバッグもご期待ください。

土居祥子さんの出展は、21日、22日の土日のみ。
滋賀県から伊勢丹へやってきてくださいます。