ヒナタノオト
作品展に寄せて

鳥の歌 ~ fugl sang ~
と名付けられた加藤キナさんの革工芸の個展。

ヒナタノオトを開いて、皆様をお迎えしての展開は行わず、
「無観客展覧会」として構成して、ウェブ上でご覧いただくことといたしました。
4月18日土曜日12時~26日日曜日16時までとなります。

こんな時だからこそ
私たちの様な人間が出来ることを
ずっと考えていました

加藤夫妻の想いを尊重しての構成です。

(加藤キナさんとは、加藤牧さんと、なほさん夫妻の作家名です。
初めてご覧になる方に向けて、あらためてお書きしますね)

ヒナタノオト
=日向の音って何だろう

それは
私たちにとって
鳥の歌声

デンマークの地ビールにも
fugl sang=鳥の歌という
銘柄があるそうです

そしてこの曲は
チェロ奏者 パブロ・カザルスが
平和を願い
コンサートの最後に奏でた
祖国カタルーニャの民謡
クリスマス・キャロルでもあります

1971年
94歳のカザルスの
国連でのスピーチは
深く心を打つものです

美しい音楽
目に映り
耳に届く柔らかな色彩
空を舞い
喜びを歌う鳥たちの声は
私たちの心を慰めます

そして時に
勇気づけてくれます

自由な外出や
友人との語らいの制限されている今
心だけは繋がっていたい

カザルスのスピーチを
皆さんに
遠く離れた友人・家族に贈ります

一日でも早く
共に過ごせる時間が戻ることを願って

「 鳥の歌 」
The Song of the Birds.

The birds in the sky,
in the space,sing

“Peace, Peace, Peace”

“Peace, Peace, Peace”

“Peace, Peace, Peace”

Pablo Casals

加藤キナさんの今展へ寄せたメッセージの一端。
この想いを丁寧にひも解いて、ウェブ上での展覧会として感じていただきたいと現在構成中です。

最高な仕事をできないことが
芸術家にとっての貧しさなのかもしれません

水曜日、加藤夫妻がヒナタノオトに車で来られ、
ヒナタノオトへは、私ひとりが車で向かい、
暖かな日和のお陰で空色の扉も開け放ったままに、
極力近づかず、展示を行いました。

その時見せていただいた、昨年、一昨年とご一緒したときに、なほさんが綴ったノオトの一頁に心が留まります。

バベットの晩餐会の中の肝の一節から、なほさんの言葉で書き綴った一文。
そうだ、そうだよね。

このような情勢の中で、「どうするか、どうやるか」といったHow toのことに気持ちが持っていかれそうになるけれど、
そうじゃない。
最高の仕事をしてもらえるような場を精一杯作ることが、私の仕事でした。

加藤キナ展「鳥の歌」を、今、開催すること。
その真ん中の意味を確かめることができた搬入の日となりました。

パブロ・カルザス
カレン・ブリクセン
バベットの晩餐会・・・

これらのことも、「無観客展覧会」の中で、綴っていきますね。

そして、加藤キナさんの想いの果実のような革の作品のひとつひとつ。
バッグ、お財布、モビール、コサージュ、といった実りについても、ゆっくりと。

では、実店舗内の仕込み、ウェブの裏側での仕込み、引き続きがんばります!
会期中、皆様の時間の中で、加藤キナさんが最高の仕事をしようと励んだ時間が輝きますように。