店主ブログ
日々の芽吹きの記録

「作家もの」の記録

2020.07.22

鴨川の家から電話をしていると、スマホの向こうから
「鳥の鳴き声がよく聴こえますねー」
と、しばしば言われます。
主にウグイス、時に、ホトトギス、稀にはキジ。
里山を渡る百千鳥の声が雄大に、スマホを通して、全国に?飛んでゆくようです。

その場にいる私自身は、そんなに意識していないのです。
耳は、当たり前の音として聞き分け、振り分けているのでしょう。
深層心理には、心地よく、豊かな奏でをいただいているのでしょうけれど、
取り立てて意識をしているわけではないんですね。

耳に心に豊かに響く野鳥の声と同じように、作り手の方々の手になった恵み、
作品の数々も、日々の暮らしの中にとけこんでいます。

「作家もの」と呼ばれる工藝品と暮らすようになったのは、1986年から。
金沢に俳句をするために移り住み、そこで働き始めた工藝、クラフトショップで、
作家という言葉が、文学作家以外に使われることを知りました。
そして、暮らしの中に、「作家もの」が入り込んできたのです。

一番最初は、兎が駆ける絵が描かれた湯飲み。
粉引きの小ぶりな碗が加わって、輪島塗の小さな小さな鉢を思い切って購いました。
あれから34年!

今、身の回りには、「作家もの」がいっぱいです。
そして、それらは私の暮らし、もっと言えば人生そのものを豊かにしてくれているのですが、
日々の中では、当たり前になり過ぎて、空気のようになじんでいます。
そう、野鳥の美しい声と同じように。

このテキストは、鴨川のリビング&ダイニングのテーブルの上のパソコンで打っています。
目の前には、階段があって、そこには三谷龍二さんの木の時計が15年以上掛けられてあって。
うれしかったり、かなしかったりしながら積み重なっていった時間。
その時を刻み続けたのは、「作家もの」の時計でした。
私の人生、「作家もの」とともにあったんだなぁーと、今更ながらしみじみと。

デンマークに行ったときや猫のことしかあまりあげられなかったインスタに、
巡り合い、縁あって手元にやってきてくれた「作家もの」をコツコツあげてみようかな。
と、ふと思い立ちました。

こちらは、大野七実さんの器。
たぶん、1998年頃のもの。
今も変わらず穏やかで優しい雰囲気。
けれど、愛らしいガールな印象から、
今はフォルムがシュッとしていて、レディーな器になっていますよね。
ふふ。

身の周りの当たり前のように存在してくれる「作家もの」の記録。
よかったらフォローして、見てみてください。

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