ヒナタノオト
作品展に寄せて

松本郁美さんの個展が25日土曜日から始まります。

覧古考新-らんここうしん

「故(ふる)きを覧(み)、新(あたら)しきを考(かんが)える」

郁美さんの個展に寄せて、うんうん唸りながら、
「あ、これだ!」とひらめき、名付けさせていただいたタイトルです。

その道へと進む原点、初期感動の強さというものがあります。
松本郁美さんにとって、中国の古陶磁に惹かれた想いが、その原点でしょうか。
時に細く、頼りなくなりそうなその想いを、制作の中で抱き続けた郁美さん。
時流に惑わされず、ときには意に添わない助言を浴びることもあった中、
ご自身のまんなかにあるものを手放さず、その想いを掌中の珠のように育ててこられました。

昨年は、中国、景徳鎮大学のアーティスト イン レジデンスで制作の機会を得られました。
おぼろげだった憧れの焦点を、濃く豊かに心に定められて帰国して、
そのアンサー展のようなかたちで今展に臨んでくださいました。

ずっときちんとかたちにしたかったという立体。

重箱の蓋の意匠も豊かです。

郁美さん独特の色使い。

明るく淡く、上品な薄緑色を呈す「柞灰(いすばい)」の器。

立ちもの、と呼ばれる、ゆのみ、カップも多種に。

実に手の込んだ作品群が揃いました。
見応えたっぷりです。

初日のみ、混雑を避けるために、予約制とさせていただきました。
このような状況の中にもかかわらず、一日で予約が満席に。
郁美さんのお仕事に惹かれる方が増えていることを実感しました。

細やかで時間のかかる制作の中、多くの数を制作いただきましたが、
それでも初日のご予約くださった人数を考えると、
お選びいただく個数制限を設けさせていただくことをご容赦ください。
(おひとり様最大8点までとさせていただきます)

土日と開いて、月曜はお休み。
火、水、木と開いて、金曜休み。
二週目の土曜日には、少し追加もくださるご予定です。

松本郁美さんは、最初の土日在店のご希望でしたが、
今回は滋賀県からの外出を控えられて、在店はなくなりました。
ご理解くださいますようお願いいたします。

ヒナタノオトでは、一層、店内の換気、衛生管理に留意して、
ご来店くださった方々に安心安全にご覧いただくことを、あらためて心にしっかりと置きます。
お客様にも、ご体調に問題のないこと、手指の消毒、距離のご配慮など、
ご協力をいただけますよう、あらためてお願い申し上げます。

ご予約くださいましたお客様でも、ご体調に変化がございましたら、キャンセル承ります。
(電話、メールなどでご一報いただけますと幸いです)

それでは、覧古考新、今を瑞々しく生きる作家の
「ふるきをみ、あたらしきをかんがえる」
ことから生まれた陶磁器の数々を、空色の扉の中からご紹介してまいります。