店主ブログ
日々の芽吹きの記録

ゆくとしに

2020.12.31

大晦日も晩のご挨拶となってしまいました。

本年も当サイト「手しごとを結ぶ庭」をお訪ねくださり、ありがとうございました。
『ありがとうございました』
とお伝えできることが、ほんとうにありがたい想いです。

そして、ヒナタノオト、ソラノノオトにて作品をご覧いただいたり、お選びいただきましたこと、
3月には伊勢丹、9月、11月には自由学園明日館、10月には工房からのそよ風と、
お越しくださったり、お心を寄せてくださいましたこと。
思い返せば、さまざまな機会で、多くの方々との出会いがありました。
皆様とのつながりの輪の中にあったからこそ、
この2020年という特異な年を越せるのだなぁと、
大晦日にしみじみと思っています。

とはいえ、24日、ヒナタノオト店舗営業年内最終日から1週間、
なかなか記事を上げられませんでした。
搬出や大掃除、あれやこれや、公私共に忙しい中にあったのは確かなのですが、
気持ちを文字にまとめられなかったんですね。

実際、振り返れば、とっても大変な一年でした。
いつも、察知、検討、判断、実行…の繰り返し、
これが正解、というものが見えない日々の中にありました。

展覧会予定をお約束している作家の方のことを柱にしつつ、どう動くべきか。
この繰り返しは、まだゴールが見えません。
もの凄い変化のスピードの中で、振り落とされないだろうかという想いと共にいつもあります。

中途半端にこの場で文章を書くのはやめておこう。
そう思って、まずは仕事の、そして家の大掃除やお正月の準備をもりもりに進める日々。
時間が足りないくらいでしたけれど、それはとても充実した時間でもありました。

掃除に使う箒を使いながら、食器棚の器をすべて出して器に触れながら、
庭に咲きだした水仙を花瓶に活けながら、それらを作った人の顔が浮かぶこと。

飾り棚の中の片づけをしながら、あちこちに置いてしまった装身具をまとめながら、
クローゼットの中のストールや帽子をたたみ返したり、形を整えたりしながら、
それらを作った人たちのことを思い返していました。

23歳から始まった、暮らしの中で使われる美しいものを作る人たちとの時間の中で、
縁あって私の手元にやってきてくれたものたち。
それらは美しく、いとおしく、使い心地がよいもので、ものとして、それだけでも十分に私に恵みを与えてくれました。
でもね、それだけではないんですよね。
それに加えて、それらを作った人たちのことが加わって、得も言われぬ幸せな気持ちが湧いてくるのでした。

SNSの力もあって、作家の作った器の人気が広やかになったり、
オンラインストアを通してお選びいただきやすくなったことの恩恵は
使い手、作り手、つなぎ手それぞれにありますね。

でも、私はものを売るという通過点のところだけではなくて、
その根っこや、その先の果実を感じながらの仕事をしていきたい。
そんなことを、ここ数日にあらためて触れた作品の数々から感じていました。

それはものを作る人たちが心豊かな人生を送っていくこと。
そしてその心豊かな人生が、使う人たちにもあたたかに伝わり、循環していくこと。

日進月歩で進む様々なツールの展開に目が回りそうなところもありますが、
そこはめまいを起こさないように心して(笑)
足元、そして、少し遠めにものごとをみながら、
大切なもの、大切にしていきたいことを手放さないように進んでいきたいと思っています。

昨日には、作家の方々による連載コンテンツ「葉」に熊谷茜さんの原稿をアップいたしました。
籠を編んでそれを販売する、ということだけではなく、
茜さんが開拓している人生の中で実っていく営み。
それを文章を通してもお伝え出来たらと思いますし、
茜さんにとっても、この書く機会がその営みへの肥料のようなものになってほしい、
そう願っています。

「葉」のコンテンツは、コロナ禍の中で、私の仕事時間がいっぱいいっぱいになってしまって、
うまくハンドリングができず、執筆者の作家の方々、そして読者の皆様には申し訳ありませんでした。
来年は、こちらも落ち着いてハンドルを握っていこうと思います。

新しい年、手仕事を結ぶ庭、ヒナタノオト、ソラノノオト、
また、3月の伊勢丹、春以降の自由学園明日館、秋の工房からの風と
ひとつひとつを精一杯お届けいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

では、皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。