店主ブログ
日々の芽吹きの記録

草木色いろ

2021.05.11

下地康子さんの展示も火、水、土、日とあと4日となりました。
密になることなく、けれど和やかにお運びいただいております。
ありがとうございます。

大作が多いのですが、美しい布ぬのが、それぞれお似合いの方のお手元に選ばれていく場面、
その折々の下地さんの恐縮しつつも幸福そうな表情に出会えることも、ギャラリー冥利に尽きます。

月桃、琉球藍、フクギなど沖縄ならではの草木で染められた糸。
手績みの苧麻(ブーと沖縄では呼ぶそうです)など、下地さんが草や樹木の話をいろいろしてくださいます。

デイゴの話が出た時
「房総にもたくさんありますよ。海紅豆(かいこうず)」
と言いましたら、
「デイゴと海紅豆は違うのでは?」
というお話になりました。

ネット検索で調べたところ、下地さんのおっしゃる通り、違っていました。

こちらがデイゴ。
梯梧。
マメ科の落葉高木。
日本では沖縄県が北限とされているそう。

私が同じと思っていた海紅豆は、アメリカデイゴとのこと。


マメ科の落葉低木とのこと。
鹿児島県では県木で、アルゼンチン、ウルグアイの国花と。

ちょっと調べてみましたら、タイでは赤の染料として使われているとも。
下地さんの布にも今後、登場するかもしれませんね。

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そして、こちらはエルダーフラワー?
いえいえ、我が家に実生で育った木。
ガマズミ。

花の姿がよく似ています。
咲いている季節も同じ。
但し、葉はだいぶ姿が違いますね。
こちらは、ニッケのお庭のエルダーフラワー。

ガマズミは、エルダーフラワーほど甘酸っぱい香りはしませんが、それでも鼻を近づけるとほのかに似た香りが。
エルダーフラワーと同じように、花でシロップが作れるのかしら?
と、調べてみましたが、そのような記述は見つけられませんでした。
(やってみましょうか!)

けれど、赤い実は果実酒やシロップに使うとのこと。
そういえば、エルダーフラワーの実は黒でした。
信州では、大根漬けの赤の色味付けにガマズミの実を使うとも。
楽しいですね、植物と人とのかかわり。

草木、植物の恵みは、食や暮らしにほんとうに豊か。
心に風が渡るような下地さんの手がけた美しい布、その色の由来が草木にあることが、今回ひとしお豊かに、確かに感じられます。

そして、こちらは我が家の実生の桑。
ちょうど食べごろ。
地元では「いちごぐわ」と呼ばれる、大ぶりな実の桑。
実生だから選んだわけではなく、ほかの実生の桑はほとんど小ぶりな実なのですが、この1本だけがいちご桑。
(いちごみたいな大きな実、という意味みたいです。地元というより、ご近所Sさん宅特有の言い方かも?)

果糖が気になりつつも、枝からつまんでぼりぼりと。
今年は豊作なので、フリージングして、ヨーグルトやアイスと楽しむのもいいですね。

そして桑といえば、お蚕さん。
農家では養蚕も盛んだったことの名残で桑の木が多く、養蚕をしなくなった地域でも今も巡り巡って(鳥たちの活躍もあり)実生で桑が生えてくるんですね。
下地さんの布には、絹も豊かに織られています。
桑をほおばりながら、絹織物へも心を飛ばせて。
草木の色いろ、豊かです。