スタッフブログ
ヒナタノオト日誌

あらためて、千春さんのポット

2022.05.31

萩原千春さんのポット。
ヒナタノオト開店時からずっとご紹介させていただいています。
千春さんのヒナタノオトでの初めての個展の時には、当時最大数のポット、急須をご出品いただき、壮観でした!

今回、久しぶりにたくさんたくさんの千春さんのポットがヒナタノオトにやってきて!
あらためて、いいなぁと、しみじみ思ったのでした。


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ポットを手元に引き寄せて、蓋を取る。
茶葉を入れる。
湯を注ぐ。
葉が開くのをしばらく待つのもうれしい時間。
頃合いを見計らって取っ手に指を。
蓋を抑えて、カップにお茶を注いでいく。
どのしぐさにも、器の使い心地が指から伝わってくる。
お茶を淹れる者が感じるうれしさは、お茶をだされた人にも、きっと伝わる。
それは一碗のお茶を通して、作り手の優しさが、使い手の心に灯っていくようだった。

使う人が優しい気持ちになってくれるように。
そのために、千春さんは技術を高める。
もの作りとして当たり前のことを、まっすぐにすること。
それが優しさ。
           「手しごとを結ぶ庭」(アノニマスタジオ)稲垣早苗著 p153~154


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  …

この仕事を始めた20代のころから、作品や作家をご紹介するとき、極力「優しい」という言葉を使わないようにしています。
幸い「優しい」ひとやものに出会うことが多いのではありますが、それを言ってはおしまいな気がして。

そのような中、千春さんのお仕事に深く触れた時、優しいという言葉の輪郭がはっきり立ち上がって感じられたのでした。
使う人が優しい気持ちになるように、誠心誠意作ること。
そのための丹精。それが優しさだと。

そして、今回、久しぶりにたくさんのポットを前にして、あらためて千春さんのお話を伺い、「変わらぬ優しさ」をじんわり感じたのでした。
デザイン先行ではなく、使うためのかたち、使うための加減から生まれる必然のかたち。
そこにひそむ優しさ。

ちなみに、我が家も、ヒナタノオトも、メインのポットはずっと千春さんのポット。
お茶をカップに注ぐまでのさまざまな工程のどの場面でも心地よい時間が過ごせるから。

今回、私は初見なのですが、朋子さんとのコラボも!
愛おしい姿です。

面取りされたたっぷりとしたカップ。

瑠璃色がお料理に映えるお皿。

中国茶用のポットも熟した姿で。

土瓶の手の真鍮は千春さん自らの手で。
木の持ち手のもののストーリーは、大変興味深く、いずれゆっくりお書きできますように。
(店頭では、お話しさせていただいております。
へぇーって感心してしまうお話なのですが、書くとながくなりそうで・・・)

大中小のポット。
土瓶。
急須。

飽きの来ない、使うほどに愛着が増すポット。
お気に入りをぜひ見つけていただけましたらと思います。