スタッフブログ
ヒナタノオト日誌

心に触れる装身具

2023.08.26

aei 桑山 明美さんによる装身具の展覧会を開催中です。
「陽のひかり またたく庭」、「星の渡し船」、「一番星がついた嘘」、
1点1点に印象的なタイトルがつけられた作品が並びます。
形と言葉から立ち上がってくる世界。
それはまるで、詩集や物語の中を歩いているよう。

初日、二日目の週末は、作者の桑山さんも在店され、来店くださったお客様とゆっくりとお話しされる豊かな二日間となりました。
制作やタイトルについて質問すると、とても丁寧に詳しく教えてくださる桑山さん。
気さくでお話上手なお人柄に、私もすっかりファンになってしまいました。

桑山さんは「心に触れる装身具」を作っている、とおっしゃいます。
それは、ただ形の美しさやかわいらしさだけではなくて、心に触れるストーリーがそこにあるということ。
制作しているのは、装身具という名の「身に着けるオブジェ」。

糸鋸を使って金属の板を切り抜いて制作された透かし彫りの作品や、型取りして鋳造した作品など、表情もそれぞれの作品。
ご来店のお客様の中には、すでにaeiさんの作品をお持ちの方も多く、身に着けてご来店くださいました。
お持ちのイヤカフをピンキーリングとしても楽しんでいるという方。
真鍮の作品を持っているので、今度はシルバーの作品を探しに、という方。
それぞれの日常で使われることで、おひとりおひとりのストーリーを刻んだ作品たち。
使っていくことで起こる金属の経年変化も含めて楽しんでもらえればうれしい、という桑山さんの言葉どおり、作品が味わい深くなっていました。

また、装身具をあまり身につけない方にも楽しんでいただけるように、とモビールも制作されています。
そのモビールも、日本の住まいに合うことが考えられたほどよいサイズ感。
空間がさりげなく装っているような印象です。

詩的なタイトルが印象的ですが、タイトルが先にあって制作をすることもあれば、作品が出来上がってからタイトルをつけることもあるそうです。
ときには、名前がつかずに仕上がった作品が眠っていることもあるのだとか。
そうして作り上げられた作品の世界。
ギャラリー空間を一巡りすると、1冊の本の世界を通り抜けたように感じます。

展覧会は8月27日 日曜日まで。
形と言葉が奏でる世界をお楽しみくださいませ。

文:瀬上尚子