ヒナタノオト
作品展に寄せて
舞良雅子さんの展覧会が始まりました。
開店をお待ちくださるお客様もいらして、作品を心待ちにしている方の多さを感じます。
初日の土曜日には、舞良さんが在店。
終日途切れることなくいらっしゃるお客様に、素材のこと、制作のことなどお話しくださいました。
ギャラリー空間には、ストール、ネックウェア、オブジェなど約70点の作品が。
思わず手に触れてみたくなる作品ばかりです。
絹、麻、ウール、カシミヤなど、いくつかの素材で織り上げられた布の豊かで複雑な風景。
ラインや色がアクセントとなるアシンメトリーな表情。
手紡ぎ糸で制作されたホームスパンも、舞良さんならではの作品となっています。
どの作品からも感じられるのが、揺らぐことのない存在感。
それは独創性と同時に、素材への理解と探究、そして細部への惜しみない手仕事に支えられた美しさでもあります。
それぞれの作品の雰囲気を生かすフリンジの仕上げなど、
お話を伺うほどに、丁寧なお仕事の積み重ねを感じます。
舞良さん自身は作品に対して、手工芸的な情緒で訴えるよりも、アートとしてクールな提案をされているように感じますが、手に取り、まとわれるお客様は、布の風合いを楽しみ、布ぬのに隠された魅力を発見して楽しんでくださっているように思いました。
ストールの巻き方をいろいろと試される方や、
絹のパーツが連なったオブジェを身にまとって楽しむ方も。
作品に触れることで、イマジネーションが広がるのでしょうか。
ギャラリーは、のびのびとした楽しい空気に包まれていました。
素材の特性を知り、それを生かしつつも新たな可能性を引き出す好奇心。
舞良さんのとらわれない心は、使う人の創造力をも刺激してくれるようです。
ファッションとアートと工芸の交差点で織り上げられた作品。
それはまるで、ストールやオブジェの形をした、自由。
展覧会は11月13日 日曜日まで。
個展ならではの、見応えのある豊かな時間をお過ごしいただけると思います。
文 瀬上尚子
写真 中川碧沙
※
舞良雅子さんの作品は、オンライン販売の予定はございません。
通販ご希望の場合は、電話、メールでお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。
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