ヒナタノオト
作品展に寄せて

Q1
岩手県雫石町でホームスパンの制作と、観光をつなげた活動を展開する「旅する羊」の猪又裕也さん。
今展にはどのような作品を出品くださいますか?

A1
ホームスパンのマフラーを出品いたします。
もこもこの羊毛を紡毛機で手紡ぎして糸にし、はた織り機でぱったんぱったんたと手織りした織物をホームスパンと言います。
岩手が全国唯一の産地となっています。
強いテンションを必要としない手作業だから表現できる、羊本来のふわっと優しい風合いをお楽しみ頂ければ嬉しいです。

Q2
出品作品の中でも特にひとつ、詳しくご説明くださいますか。

A2
マフラー「SOYA」は、淡いグレー、濃いグレー、黒茶の3色の糸で織っています。
最大の特徴はこれらの糸が、染めていない羊そのものの色という点です。
ニュージーランド産のコリデール、イギリス産のイングリッシュレスター、北海道産の交雑種の3種類の羊の毛使用しています。

また、ホームスパンは糸を自らの手で紡ぎます。
しっかり撚りをかけキリッと細い糸に紡いだり、甘い撚りで空気を含んだ太い糸に紡いだり、自分の思った様な糸で織物を仕上げる事ができるのは大きな魅力の1つです。

この「SOYA」は、あえて太く細く不規則な糸に紡ぎました。
ふわっと膨らむ太い部分と、しなやかで微かにツヤを放つ細い部分、その両方の表情と質感を楽しむ事ができます。

作品に名前を付けることは少ないのですが、染めずとも豊かな色彩と、太かったり細かったり動きのある糸で織り上げたこのマフラーは、荒々しく洗練されていない様を表す“粗野”という言葉が自然とおりてきました。
優しい毛を纏い、逞しく生きる、羊の生命力を感じられるマフラーです。

Q3
在店予定日と、在店時にしてくださることを教えてください。

A3
1月21日(土)、22日(日)、28日(土)、29日(日)の毎土日に在店いたします。
在店時は紡毛機を持参し糸を紡ぐデモンストレーションを行う他、お客様に糸紡ぎ体験を楽しんで頂けるよう準備いたします。

ホームスパンや染織に詳しい方も、初めて手に取られる方も、それぞれの目と心、感覚で、猪又さんの進み始めたお仕事に触れていただければと思います。
猪又さんがホームスパンに魅せられた盛岡の中村工房さんは、私や本間も何度もお訪ねしてお世話になった工房です。
こうして、若く新たな地平へと切り拓いていく作り手と新鮮にお仕事ができること、大きな喜びに感じています。

そして、ギャラリーでは、関東から雫石に移り住んだ方ならではの雫石の魅力も教えていただきたいですね。

紡毛機でのデモンストレーションやご希望の方の体験についての詳細は、搬入時に詳しく構成したいと思いますが、
いずれ、最初の土日、ぜひお出かけになってみてください。

旅する羊さんの工房からの風の時のメッセージもリンクいたしますので、こちらもご覧ください。
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