ヒナタノオト
作品展に寄せて

年に二回、ご好評をいただいているVANILLAさんの受注会が30日土曜日から始まります。

定番デザインと縫製技術が響き合った服は、袖を通すと着心地の良さに虜になります。
そして、私はVANILLAさんの服にアイロンをあてるとき、そのすばらしさに心が躍ります。
縫製が見事にきちっとしているので、アイロンをするために服を整えると「辻褄が合う」んです。
伝わるでしょうか?
「正確」に縫われているので、アイロンの進行がぴたっと決まるんです。

村上龍の文章の中に
「・・・完璧なメロディというのは作られたもんじゃなくて、切りとられたものなの、わかる?」
「宇宙とかそういう流れを、正確にある長さだけ切り取ったものだと思うの―――」

というものがありました。
俳句をしていても、創造とは感動に正確であること、と学びました。

ちょっと、飛んで?しまったかもですが、そんなことを思い起こさせてくれるような、VANILLA、高野学さんの縫製なのです。
そんな「正確な」服を日常に着ることができるデザインに仕立てているって、実はすごいことだって思うようになりました。
回を重ねるほどに・・・

長くまさに愛着!のわく服をデザインする高野ちえみさんから、メッセージをお寄せいただいていますので、ご紹介させていただきますね。

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ファッション、生活、流行り、定番、日常・・・
自分たちの仕事はどこだろうと考えるとやはり定番、日常、生活がしっくり来ます。
でも今の空気も纏いたい。
今らしさ、自分らしさ、デザインに合った素材選び。
その心地よいバランスをいつも探っているように思います。

数年前に作ったデザインで今も来てみたいけれど
全体的に見るとなんだかやっぱりピンと来ない。
流行は追っているつもりはないけれど、やっぱり今の空気感というものがある。
そんな服をいちから見直して改めて仕立てたものもご紹介します。

定番の作品は色柄を増やして更に楽しんでいただけるようご用意しています。

今回のお洋服について、いくつかお伝えします。

○テーラーコート
あたたかく軽く、風をはらむロングコート。
今期は柔らかな印象のチョコレートブラウンのウール、より着心地の良さを求めて仕立てました。

○リボンケープ
ふわふわのミルクティーカラーのウールのケープ。
秋冬の心躍るお出かけのシーンを思い描いて、その時間に華を添える気持ちでベルベットリボンを合わせました。

○ヨークギャザーワンピース
コットンにヤクウールの入った素材をたっぷり使いました。
ほんの少しの配合でもあたたかくなってしまうウールの存在感が楽しめるワンピースです。

○メンズライクシャツ
ざっくりした大きめのシルエット、細かくとったタックがポイントです。
素材はかさかさと心地よい感触のコットンタイプライターです。

○タックパンツ
ウエストすっきり仕立てのタックパンツ。
楽な着心地ですが、綿麻の千鳥格子でお行儀の良い印象に。
あえて明るいカラーのトップスと合わせるのが楽しいです。

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画像はVANILLAさんのインスタグラムに詳しく掲載されていますので、ぜひご覧ください。
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初日、開店時はご予約が満席ですが、13時からはご予約なしでご覧いただけます。

尚、9月30日(土)10月1日(日)は、celeste 靴の稲垣哲も在店します。
現品販売のほか、オーダー、そして、celesteの靴のメンテナンスも承ります。
あわせて、ぜひご覧くださいませ。