ヒナタノオト
作品展に寄せて
佐藤亜紀
滋賀 染織
四季折々に染めた草木の糸で織り上げた春の布。
芽吹きの喜びあふれるシルクを中心とした手織り布。
Q1
佐藤亜紀さん、今展には、どのような作品を出品くださいますか?
A1
草木染め手織りのストールを出品します。
寒い冬を越え、春をよろこぶような花々の色、枯れ草色の野から芽吹き出した若草色、春の気配を感じるストールを織りました。
Q2
佐藤亜紀さんの庭にまつわるエピソードがありましたら、教えてください。
A2
染織の工房を出て、独り立ちをした時に、知り合いづてにお借りできた一軒家には庭がありました。
枇杷、樫、梅、楓の木があり、引っ越した時には「この木の枝葉で糸を染めることができる!」と思いました。
働いていた工房では化学染料で糸を染めていました。
でも、私自身の制作では草木染めをしていきたいと心に決めてはいたものの、
化学染料の良さもわかっていたので、手間暇のかかる草木染めをモチベーションを保って続けていけるだろうか、
街に暮らしていたらそもそも草木は手に入るんだろうかと、工房を出る時は不安ばかりでした。
木々の繁るお庭がある一軒家との出会いのおかげで、糸を草木で染めることを始められて、続けてこれたのかもしれません。
8年位住み、今は引っ越しましたが、時々思い出します。
今時期は梅の花が咲き、カラスノエンドウなどの下草が芽を出し、玄関先には沈丁花が香っている頃かなと思います。
導いてもらったお庭に感謝しています。
Q3
今展のメインビジュアルに描かれた草花の中で、出品作品にモチーフとしたものがありましたら具体的に教えてください。
A3
ヒヤシンス色を織りました。
案内状にある枇杷の枝葉で染めた色で織ったものもあります。
折々、時の積み重ねの中で受け止めた感情や想いが、
ゆっくりと立ち上がっていくように織り上げられていく亜紀さんの布。
絹を中心とした素材の輝きとあいまって、静かだけれど生命力に満ちた光の布になっていますね。
佐藤亜紀さんは、土日に信楽から在店くださいます。
草花の息吹きをまとうように、ぜひ羽織ってみてください。
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