ヒナタノオト
作品展に寄せて

吉田 史
神奈川 装身具
OLD TO NEW。
幼い頃に過ごした野原の植物、心から離れない物語。
かたい金属から生まれるやわらかな表情。

Q1
吉田史さん、今展にはどのような作品を出品くださいますか?

A1
バングルやブローチなど、陽の光が明るくなる季節に相応しく大振りで春爛漫な新作や、可憐な野の花の装いを楽しんでいただける装身具をお持ちします。

Q2
吉田史さんの庭にまつわるエピソードがありましたら、教えてください。

A2
実家の母は上手に工夫して庭を設えていました。
四季折々に咲く花を見ながら縁側に座って過ごす時間を幾つも思い出します。

しかし、駆けずり回って転げ回って、肌でわたしの庭のように感じ思い出すのはまわりの野山です。
裏山の中腹に建つお寺の、山の中にひろがる境内にはそこここに好奇心の仕掛けがあって、子どもたちにはたまらない魅力がありました。
延々とつづく桜の園の真ん中に1本だけ空に向かって緑の掌を広げたような木があり、よく登って本を読み、おやつを食べ、気持ちよくうたたねをし、すきな絵を描いていたその時にはなんでもなかった時間が、いまとても大切なものになっています。

Q3
今展のメインビジュアルに描かれた草花の中で、出品作品にモチーフとしたものがありましたら具体的に教えてください。

A3
ずっと作り続けている白詰草とミモザ、マーガレット、ラベンダー、ビオラに加えて新しく白山吹のお花を作りました。
ふっくらとした花びらに沿う対照的にキリリとした葉も魅力的で、ご覧いただけましたら嬉しいです。

可憐な草花のこまやかな表情を金属や象牙で表現する吉田史さん。
今回のテーマは、史さんならではの世界を豊かに表してくれることと、楽しみにされている方が多いのではないでしょうか。
新作も加わって、この春から共に過ごす装身具をぜひご覧ください。