ヒナタノオト
作品展に寄せて

Anima uni
東京 装身具
うつくしさ素のままに。
春をことほぐちいさな庭の物語を天然石と金属で綴って。
日々に詩情を、こころに歌を。

Q1
Anima uniさん、今展には、どのような作品を出品くださいますか?

A1
ちいさなお庭で育てている草花やタネを写しとるようにしてつくった装身具を中心に。
耳飾りはこれまでピアスがほどんどだったのですが、珍しくイヤリングも作りました。

Q2
Anima uniさんの庭にまつわるエピソードがありましたら、教えてください。

A2
庭の西の隅、金木犀と椿の間の細い地面に、実生の枇杷が生えているのを、何年か前にみつけました。
日照時間もあまり無いような日陰な上に木の陰で、ひどくゆっくりゆっくり背を伸ばしてゆき、とうとう剪定が必要なほどの高さに育ちました。
鳥の落とし物なのか、自分で食した後にペッペと蒔いたタネだったのか、とんと記憶に無いのだけれど、どちらでも構わない。
天の落とし物のような気がしています。

八百屋の店先に並んだ枇杷ではなくて、鳥たちと先を争うようにしてもいでくる田舎の庭先の、甘みも酸味もみっちり詰まった枇杷が大好物でした。
その大木がふいに枯れてしまい、ぽっかりさみしい気持ちになっていたらいつのまにやらこっちの庭に生えていて。
実がなるのは何年後になるのか、定かでは無いけれどそれまで、はやく食べたいなあと、涎を垂らし、首を長くして飽かず眺める日々。

Q3
今展のメインビジュアルに描かれた草花の中で、出品作品にモチーフとしたものがありましたら具体的に教えてください。

A3
ゆらめききらめく春のよろこび。
ヒヤシンス、ムスカリ、ビオラ、すみれの耳飾りとネックレス。

冬の寒さをくぐり抜けてやってくる春のよろこびを存分に味わいたくて、
毎年、たくさんの球根や花の種を、リスのように慌ただしい秋口の合間を縫うようにしてせっせと仕込みます。
土のなかに想いをはせながら待つ冬の時間。
色とりどりに花の揺れる春先の庭です。

庭を丹精し、木々草花と気息を合わすように過ごされるAnima uni(アニマウニ)さん。
今展のテーマは、きっと芯でもあって、手も心も伸びやかに制作に取り組まれたことと思います。
作品のひとつひとつに、それぞれのひかりが宿っているように感じるAnima uniさんの装身具。
「作り手と結ぶ庭」の中で、ぜひそのひかりを受け取ってみてください。