ヒナタノオト
作品展に寄せて

野生の鹿革には個性があります

大きな大人の雄
小さなサイズは雌や子供
質感やキメの細かさもそれぞれ

餌の取れない冬は皮が薄く
実りの季節には脂肪が付き厚さもたっぷり

扱い始めた当初は
あまりの違いに戸惑いました

今まで目にしてきた
飼育動物の革とは全くの別物

特に困ったことは
傷がとても多いこと

その傷をどう処理するかで
ずいぶんと苦労しました

でも 付き合いが深まるうちに
最初はどれも同じように見えていた傷が
実は色々ある事に気づきました

これは枝に引っ掛けた傷
この辺りは繁殖期の雄のたてがみの跡
ダニに食われたり
座り続けた座りダコだったり
新しい傷
古い傷
治りかけの傷
そして
人が付けた傷

鹿の調査をしている方から
こんな話も聞きました

世話好きおばさんの鹿が
いるグループでは
いつでもおばさんがグルーミングして回るので
ダニがほとんどいないのだとか

逆に子育て下手の母鹿の子は
沢山ダニがついてしまう
何となく人間社会にもありそうな

そんな風に
鹿にも色んな生き方があって
一匹として同じでないと知りました

扱ううち当たり前となった革の傷を
以前より疎ましく思わず
かえって森の景色が見えるようで
美しくさえ思うようになりました

そう思えるのは豊かな事

柔らかくしなやかで
物語のある野生の鹿革

自然にとって無理のない
物作りができたらいいと思います

加藤キナさんから届いた鹿革についてのお話し。
野生の鹿革の個性とは、雌雄や年齢だけのことではないんですね。

これは枝に引っ掛けた傷
この辺りは繁殖期の雄のたてがみの跡
ダニに食われたり
座り続けた座りダコだったり
新しい傷
古い傷
治りかけの傷
そして
人が付けた傷

世話好きおばさんの鹿が
いるグループでは
いつでもおばさんがグルーミングして回るので
ダニがほとんどいないのだとか

そうか、教えてもらうとなるほどと思うけれど、
なかなか気づけないことですね。

扱ううち当たり前となった革の傷を
以前より疎ましく思わず
かえって森の景色が見えるようで
美しくさえ思うようになりました

そう感じる加藤夫妻の心に、
こちらの心も深い森で呼吸しているような気持ちになります。
自然の豊かさに触れる想い。

ものづくりを志し、学び、経験を積んでいく中で、
より納得できるものづくりへと歩んでこられた加藤キナさん。
そのひとつのデザイン、技法がモザイクなんですね。
革をテープ状にすることで、革をより有効に使い切れること。
そして、鹿革特有のふんわりやわらかな風合いが、編むことでより特徴が生かされ、強度も生まれてくること。

馴染みのある牛革とは違った肌触りのふんわり感。
実際に触れていただけないことがもどかしいのですが、持ち歩くバッグだからこそ、美しき相棒!のようになってくれる存在感です。

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