ヒナタノオト
作品展に寄せて

「猫に真珠」展出展作家有志の方から、猫にまつわるショートストーリーをご寄稿いただきました。

vol.2
Anima-uniさんの「庭の片隅に」

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庭の片隅に、あじさいのぼんぼりが青く灯る頃のこと。
その知らせは、なんの前触れもなく舞いこんだ。

突然ですが、猫飼いませんか。

ふわふわの綿毛のような仔猫が3匹、段ボール箱に懸命に
身を寄せ合うようにして並んだ写真が一枚、添えられていた。
1匹は美しい縞猫で、2匹は黒猫。
3匹とも仔猫特有のうつくしい青い目をしていた。
黒猫の最後の1匹だけ、貰い手がみつからないのだという。

アトリエ倭の香田夫妻は愛猫家でも知られているけれど
そういう人の周りには、えてして猫の手が伸びるものらしい。
春先に生まれた野良の仔猫を、長野の寒い冬を外では越せなかろうと、
心やさしき谷さんに保護されていたのを、倭さんが知って繋いでくれた。

夜な夜な保護猫サイトを見ていることは、言ってなかったはずだ。
旅に出ることもあれば、催事ともなれば夜遅くまで帰ってこれない日もあるし
難しかろう。ずっと踏ん切りをつけられずにいた。
けれど、作家として独立して幾年か経ち、少しばかり暮らしが落ち着き、
自分なりのリズムを刻めるようになってきた頃合いでもあった。
これもなにかのご縁。

そうこうするうち、3匹いた仔猫のうち、
2匹が保護中に脱走して、行方がわからなくなってしまい、
いちばんどんくさかった黒猫の仔1匹だけが残ったという。
本当にうちでいいのかしら。うちにくる予定の仔なのかな、もう1匹の黒猫ちゃんじゃなくて。何周かぐるぐる逡巡したけれど、
ある日、アトリエ倭の進さんの運転する車で、うちへとやってきた。

両のてのひらに乗っかるほどの小さな、ふわんふわんの黒い毛玉のような、
タヌキ顔のいきもの。指を当てると、あたたかくてちいさな心臓がとくとくしてる。

そうして日常にすっと入りこんできた仔猫は、
一日ごとどころか、うたたねから目覚めるたびにむくむくと育ち、
あっという間に巨大化して、
いまでは、おいらがここの要石だからな、というしたり顔して、
どーんと大きな図体で、自慢のふわんふわん胸毛をみせびらかしてねそべっている。


モップ係ですから


ルンバ怖〜い


遊んでくれないと肉球ぱんちをおみまいだぞ


雨に唄えば♪


ちょいとひと休み


おまえのモノは俺のモノ


雨に唄えばⅡ