ヒナタノオト
作品展に寄せて

ハマスホイの時間
2/8(土)〜2/16(日)

9名の出展作家に今企画展にメッセージを寄せていただきました。
また、なぜこの方々に出品いただいたかを企画者からの言葉として記しました。

Q
hyakkaを主宰する岡林厚志さん、今回はどのような作品を出品くださいますか?

A
壁掛け棚や花器、燭台などを出品します。
ハマスホイの絵から感じたものに、日頃僕自身の興味の対象となっているもの、
また昨年ヒナタノオトさんの企画で訪れたデンマークでの経験を重ね合わせて、今回は「光の気配」をひとつのテーマとしています。

光を受け、そこに光が在ることを感じるもの。
美しい陰影を作り出すもの。
刻一刻と変化する光や灯りの移ろいを感じられる空間を作るものになればと思っています。

初の試みをしているものが多いので、ぜひご覧頂ければと思います。


(撮影:岡林厚志)

Q2
ハマスホイの時間、という企画展から、どのようなことを想われましたか?

A2
「岡林さんに宿題があるの」と、稲垣さんからこの展示会に誘われたのが昨年の夏頃。
とんでもない宿題を頂いたな、と正直少しビビりました。
そこから過去の展覧会の図録を買い求め、デンマークでは原画も鑑賞して、この半年間僕なりにハマスホイの絵と向き合ってきました。

時間という視点でハマスホイの絵を見てみると、ハマスホイの絵はある瞬間を切り取ったようでありながら、その時間が永遠に続くかのようにも感じられます。
次の瞬間には異なる景色になってしまう儚さと永続性が同居しています。
しかしながら、次の瞬間にも、またその次の瞬間にも、その時々に美しさは存在するはずです。
もしかしたらそのことが永続性に繋がっているのかもしれません。


(撮影:岡林厚志)

Q3
ハマスホイの絵を見て、どのように感じられましたか?

A3
まず初めに、その光や陰影の美しさ、階調の深さに心打たれました。
僕自身、空間を作る際や写真を撮る際に捉えようとしている陰影の質が、まさにその絵の中に存在していました。

次に、気配。
人物や光源が描かれていなくても、感じることができる。
存在しないものに対して存在を感じ取る。
それはどこか、長い時間のなかでその一部を失い、欠けてしまった、古物や流木といったものが経てきた時間に対する憧憬に近いものがあるように思います。

またどこか閉鎖的で鑑賞者と一定の距離を保っているようでいて、一方でとても親密な雰囲気も感じ取れます。
2の方でも書いたような両義性が存在することも、ハマスホイという作家の魅力であるように思います。

追記
つい先ほどハマスホイの図録を見ていて気付いたのですが、ハマスホイの命日は2月13日なんですね。
ちょうど展示期間中と重なりますね。
なにかの偶然でしょうか・・。

宿題!?
見事な課題提出?ありがとうござました!

オーダー家具をメインにお仕事をされるhyakkaさんは、以前から北欧家具に関心があり、
訪ねたこともある方でした。
昨秋、デンマークツアーに参加くださって、制作活動を続けてこられた「大人の目」でみたデンマークの建築物や、個々のデンマーク人の実際の住まいから、多くのことを感じとられたようです。

基本、すっきりスマートなフォルムに、有機的なものを消し切らないsomethingが感じられるhykkaの作品。
そのsomethingの質がどれだけ上質であるか、その純度を高める、というか育てるのが、きっと内面的な創造なのだと思います。

岡林さんは写真がとてもお好きです。
そして、勝手に思って失礼ながら、室内やインテリアの切り取り方が、私はとても近いように感じています。
ハマスホイもカメラを持っていて、(当時としては一般的ではなかったはず)
カメラを通した構図というものを意識した、第一世代の画家だったように思います。
ハマスホイの絵を私が知ったのも、私がデンマークで撮っていた写真を見たデンマーク人の友人から教えられたからでした。

肉眼からダイレクトではなく、カメラというレンズを介して感じるもの。
その一呼吸が、ハマスホイの絵にはあるような気がします。
hyakkaの作品にある洗練さとあたたかさの塩梅の秘密もそのあたりにあるのかもしれません。

2月8日からの展示を通して、その秘密をあらためて感じ取りたいと思います。