ヒナタノオト
作品展に寄せて

日曜日、デンマークからの大切な友人がやってきてくれました。
宿泊施設での隔離期間を経て、検査を重ね、健康確認をすっかり済ませた上で。
(それは、初めてリアルなお話を聞きましたが、いやぁ、大変なことですね。。。隔離期間・・・。)
重要なお仕事の合間に時間を作って、新しいヒナタノオトをぜひ見たいと!

たった半年たっただけですのに、いつもいると自分たちは慣れてしまうのですが、
こうして初めて見る方の目を通して、新たな見え方との出会いはありがたいもの。
そして、磨かれた審美眼を持つその友人が選んでくれた作品のひとつがこちらでした。

銀蒔地蕎麦猪口 白と黒

ケヤキの木地に、珪藻土をまぶして銀粉をまとわせ、漆で仕上げたもの。
漆は、この器の作者、平井岳さんが自ら掻いた国産漆、という素晴らしい材を丁寧に使って作られたものです。

この猪口のデザイン、特に高台部分のみ生漆の溜め色のままにすーっと一筋残しているところが、ほんとうに秀逸。
店内たくさんの作品から、こちらを選ばれたその目に、さすがだなぁと思わずにはいられませんでした。
このご夫妻の素敵なデンマークの家の中で、白と黒の漆器の猪口が置かれている様子を想い浮かべて、ひとりにんまりしてしまいました。
(すみません、、、ブキミですよね!)

こちらは先日の展示で初お目見えした椀。
会期中、一番人気だったこの椀は、引き続きヒナタノオト、ソラノノオトで、共にご紹介をしています。

お粥が好物という平井夫妻が考え抜いてすっきりと生み出した椀のかたち。
そして、特に平井さんの漆に感じる爽やかな艶やかさ。
(これは、漆の「質」と塗り方ゆえかと思います)
お粥はもちろんですが、鍋の取り鉢にもおすすめです。
なかなか外食が難しいときですが、心にかなった器でおうちごはんをお愉しみいただけたらと、お薦めいたします。

店頭、オンラインストアともにご紹介していますので、あらためてご覧ください。
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以下、先日(2021/12/21)の記事をそのまま残しますね。

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土曜日から始まった「et craft 漆器展 年迎えの愉しみ」、
二日終わって私たちスタッフもあらためて、et craft平井夫妻の漆器に魅せられています。

こちらは、私が昨年購入した平鉢。
お鍋の取り鉢をイメージして制作された器。

購入以降、我が家では、もっぱらこの器が鍋のお供になりました。
取り鉢になる器、たくさんあるのですが、ついこの器ばかり手が伸びます。
具を盛る容量、見込み(口の開き)、持ち心地、そして何より美しい。
上の溜め塗り(漆そのものの色)と、下の黒を一客ずつ求めました。

ちなみに、et craftさんの黒は、うっすらと木地も見える黒。
栃の木に黒い顔料を混ぜた漆を一度塗って、その上に生漆を2、3回塗り重ねたもの。
とろみのある艶やかな質感と、栃ならではの木目がほのかに感じられる器です。
溜めで揃えられるもよし、黒で揃えてみるもよし、我が家のようにふた色を合わせて使ってみるのも愉しいかと思います。

今年の新作がこちら。
粥椀。
大きさはさきにご紹介した平鉢とほぼ同じくらい。

平井家ではお粥が定番だそうで、お粥をより美味しくいただくための器を考案したのだそうです。
出来上がった椀は、お粥はもちろん、結果的には幅広く料理を受け止める万能な器に仕上がっていました。

そして、今展では1点物の器も。

板皿。
これ、何の木だと思われますか?

漆。
うるしの木なのです。

平井岳さん、漆掻きもなさるのですが、掻ききった漆の木を伐採して、乾燥させて、かたちを整え、漆を塗って器に仕立てられました。

盛り皿として、メインはもちろん、オードブルなどなんにでも。
初日に来られたお客様は、お蕎麦を薬味や天ぷらなどを盛り合わせて使います!と。
なるほどー。

そして、設え上手なホンマユミコは、花台や立てて枝物を添わせてみたり、、、
と、ヒナタノオトであれこれ演出しておりました。
画像がありませんが、店頭ライブで!

この板皿、手に持った時、なんとも優しい軽やかさなのでした。
表情にたくましさもあるので、なんとなくもっと重いのかしら?
と自然に思っていたのですね。
漆の木って、軽いのだなぁ。
その軽やかさが、食卓や空間に威圧感を与えず、和ませてくれるのだと感じました。

この1点ものの板皿、出色と思います。

et craftさんは、漆掻きからなさる根源的なお仕事から、プロダクトデザインとしても秀でた現代的な感覚も魅力です。
こちらの蕎麦猪口、高台の部分だけ色の漆ではなく、溜め塗りにしているのです。
なんとも心憎いモダンなデザイン。

と、あれもこれもアツく語ってしまいそうですので、この辺で。

価格のことをブログであれこれ書くのは行っていないのですが、et craftさんの漆器、
お仕事に比して高くない設定と感じます。
そこには、30代、独立したてで、諸先輩方の価格設定との兼ね合いもあるのかもしれません。
(そうは、伺っておりませんが)
すでにお客様をたくさんお持ちの作家の方の価格設定と、新たに参入された作家の価格設定は異なるところがあります。
et craftさんのお仕事は、着実に顧客様を増やすでしょうから、価格設定もより正当に上がっていくかと思われます。
(実際、昨年開催時より若干上がっているものもあります。)

漆という豊かな文化の担い手は、その大変さから減少の一途と思います。
真剣に取り組む若き作り手の器を愛用することは、その文化への一票を投じることにもつながるようにも思います。

もっとも私は、その器がとても好もしく、美しく、使いたくて選んでいるのですが。

年内営業日は、21,22,23,25,26 の火、水、木、土、日。
あと5日!
(最終日は16時まで)

最終の土日は、et craft 平井岳さんが在店くださいます。
本日21日火曜日正午からは、並行してオンラインストア「ソラノノオト」でも、
et craftの漆器のご案内もいたしますので、お越しになられないお客様はぜひご覧くださいませ。
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