店主ブログ
日々の芽吹きの記録

タイトルに寄せて

2021.03.20

花菜摘む

このタイトルに思いを込めました。

はなな
という響き、音のやわらかさ、あたたかさを、コロナ禍につかれた心へ

摘むという動詞、能動的な言葉に、縮こまった心身を弾ませようと

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今年の企画には独特の難しさがありました。
まず、本当に開催できるのか。
どのような規模になるのか。
それは、伊勢丹さんだって確定できないこと。
誰をもが予測不能なこと。

コロナ禍の状況が不確定な中、作家の予定を押えさせていただくことに戸惑いがありました。
今、こうして実行できている状態では忘れがちですが、仕事のお約束をお願いする側としては、いつにないデリケートなことでした。

なので、積極的な企画立案は難しかった。
実現不可になる可能性もあったから。
ならば、とにかく今年は、発表の機会を作るだけでも尊いことだ、そう思い定めて企画しました。

そして、作家の皆さんの気持ちを向ける光のようなものとして、「花菜摘む」というサブタイトルを掲げました。
皆さんの作るもの、生み出すものは、美しい花や菜のような実り。
それは、どこかの誰かの時間の中で、きっと喜びにつながるものになると。

これは私自身の実感。
それが仕事として続けてこられたことの原動力。
そのことをまるごと信じるところに軸足を置けば、あとは実行されるだけで感謝ばかりだ。

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こうして伊勢丹新宿店5階「作り手と結ぶ庭」という会場に集った、作り手の手になる花菜の数々。
2週間という会期もあと4日となりました。
後期土曜始まりの5作家の展示を新たに加えて最終章。

企画の妙があまりなくて、作家に制作をお任せしたことがいつも以上に多かったので、
日々会場に詰めていると、この作家にはこんなことを伝えたい、あんなことを投げかけたい、という想いがむくむく湧いてきます。
これも、こうして実行できたからですね。

花菜摘む

の会場では、日々、花菜を巡りながら豊かな会話、交流がなされていて、その様子を見ながら、ああ、実行できてよかった。
そう心に喜びが灯ります。
あと4日間の間にも、そんなシーンにきっと恵まれるのだろうと、あたたかな予感を抱いて会場に向かいます。

おまけ

伊勢丹展の前に大きな封書が届きました。
広島に引っ越されたあとにも、何かとお心を寄せてくださる大切なお客様。
ヒナタノオト10周年のときにお渡しした手ぬぐいでマスクを作ってくださったK様からのものでした。

初日、ホンマユミコと記念撮影。
このようなお気持ちに支えられて、この場にいるんだなぁ。
温かな気持ちをチャージして、伊勢丹展の日々を送っています。