スタッフブログ
ヒナタノオト日誌
風に吹かれて
2023.02.20揺れるように首を傾けたワイングラス。
ゆるやかなひだが曲線を描く器。
やわらかな空気を醸し出す、小牧広平さんの作品展が、2月18日 土曜日から始まっています。
土曜日には小牧さんも在店くださり、お客様に恵まれる週末二日間を終えました。
飲食店で使われていた小牧さんのグラスに触れ、自宅でもぜひ使いたい、とご来店くださる方。
すでにいくつか作品をお持ちで、新たな作品をお選びくださるお客様。
それぞれに「小牧さんの作品を是非」という熱量を感じさせる方ばかり。
シルエットが特徴的な小牧さんの作品ですが、感じるのは自然なたたずまい。
例えば、宝石のクラックをイメージしたグラス。
ゴツゴツとした岩肌のような表面には不規則な凹凸があり、一点一点表情が異なります。
一般的なグラスはなめらかな線を描きますが、「くぼみがある方が持ちやすいかも」という発想から凹凸をつけ、そこから想像が広がって、宝石の原石のイメージの作品となったのだとか。
はじめから着地点を想定しているのではなく、一つのきっかけや意図を起点に、そこから自然に生まれたイマジネーション。
「もちろん作っているのだから、そこに人の手は入るわけだけど、過度に作為を加えたものはあまり好きではないから。」
そんな小牧さんの言葉が感じられる、風をイメージした小鉢。
風をはらむ布のような様々な表情を見せる器の群れ。
並んでいる器を見ていると、静止しているはずの器が風を受けて揺れているかのよう。
「器の性格」という言葉が、小牧さんとの会話の中で耳に残りました。
ひとりひとりの人間に性格があるように、器に感じる性格。
ひとつひとつの器の形に「性格」があることの自然さ。
静止しているはずの器に息づかいを感じるのは、小牧さんのこうしたまなざしに理由があるのかもしれません。
ガラスという固い素材の器にもかかわらず、作品のある空間に醸し出される有機的な雰囲気。
今展では、透明の作品のほか雰囲気のある黒褐色の作品もご覧いただけます。
作品の残りは少なくなっていますが、ぜひ、小牧さんの器が生み出す空気を感じていただきたいと思います。
(ワイングラスは完売しております)
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