Editor's voice

稲垣 早苗

うっかり読むと涙と遭遇

2021.12.09

作り手による文章の世界
「葉」のページでのにしむらあきこさんの新しい記事を公開いたしました。

「うたうたい」
→ click

私のいう歌は・・・
もっと身近で、もっとくだらなくて、もっとずるい、自分のためのものだ。

そう断定しながら、あきこさんはうたう、ともくんのために。

私の歌は本当にくだらない。
息子がすきなフレーズをたくさんいれてどうでもいい歌を歌う。
蝉のうた
ごしごし洗おのうた
あさがきたのうた
ふたしてちょうだいのうた(息子はお風呂の蓋係)

くだらない、ずるい、と遠くから自分を見る目をもちながら、
近く、ちかく、ぎゅうっと抱きしめるようにうたうひと。

今回もぐっときてしまう、にしむらさんの文章、ぜひお読みください。

どうしても、お薦めしたい本があるのです。

冬の足音が聞こえだしたころ、ヒナタノオトの営業中に、この本をパラパラとめくっていて、
あらら、たいへん、涙あふれてきてしまったのです。

うっかりしていました。
初めて読んだ数年前にも泣いたんだった。
でも、一度その涙を忘れていたから、新たな涙と出会えたのでした。

ねこの国

のほほん
ひだまりのなか

なんてページがあったかと思えば、


というようなページが出てくる。



そして、物語は佳境へ。
この次のページで涙腺、じんわり崩壊してしまうのでした。

人より命短い愛おしいものと暮らしたことのあるひとなら、きっとわかる。
わかるけれど、どうしようもない。
わかるけれど、その愛おしいものと暮らさずにはいられない。

すべてのねこにあいをこめて
このフレーズの登場の仕方には、隠れた仕掛けもあるのです・・・ので、ページを開きつつ、気づいてくださいね。

きっとこの本が手元に必要なひとがいる。
そう思って、にしむらさんにお願いしてヒナタノオトでいただきました。
なかなか落ち着いてブログでご紹介できぬまま、本格的な冬になりました。
けれど店頭で気づいてくださったり、私が居合わせたときにお薦めしたりして、一冊、一冊、、、とお手渡しができました。
本日現在は、お売りできるものがあと4冊となりました。

ちなみに、にしむらさんの本は、文章、ビジュアル(手漉き和紙での表現)、製本とすべて自らの手になるもの。
内容も、存在も愛おしい本なのです。

猫が好きな方も、猫にはピンとこない方も、きっと心に響くと思います。
でもやっぱり、猫好きな方にはドストライクですね。
じんわり、手元におき、ときどき読み返してみたくなると思います。

ずっと、ずっと、ご紹介したかったんです。
ああ、やっと、落ち着いて書けました。
ほっ。


Writer

  • 稲垣 早苗
  • オウンドメディア「手しごとを結ぶ庭」を企画編集しています。
    「葉」のコンテンツは、「言の葉」の「葉」。
    工藝作家やアーティストの方で、私がぜひ文章を書いてほしいと願った方にご寄稿いただきました。

    わりとはっきりとテーマをお伝えした方、あまり決め込まずに自由にしてほしいとお伝えした方、、、いろいろですが、私なりに「編集」に取り組んでいきたいと思います。

    ひとつひとつの「葉」が茂り、重なっていったとき、どんな樹形が見られるでしょうか。
    今、答えを持っていないことが、ひとしおうれしく感じられます。

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