スタッフブログ
ヒナタノオト日誌

美的嗅覚

2022.10.02

昨年ご好評をいただきました谷田貝陵子さんの革バッグ受注会が始まりました。
素材選び、デザイン、制作までをお一人で手がける谷田貝さん。
技術の確かさとともに、そのバッグの大きな魅力の一つは、デザイン性の高さ。
革それぞれの魅力を引き出した作品は、
実用的な使いやすさと、バッグとしての存在感を兼ね備えています。

谷田貝さんが「好き」をとらえる感覚は、まるで「美的嗅覚」。
香りを探り当てるようなイメージが浮かびます。
自分が美しいと思うイメージを探り出して形にしたデザインは、独自の感性によるもの。
「このデザインが好き」と深く思うお客様との出会いのシーンは受注会の華のように感じます。

初日も、「実物を見たくて」とご来店のお客様や、
すでに谷田貝さんのバッグをお持ちの方が、新たにオーダーをしてくださる姿も見られました。
また、たまたまお立ち寄りくださって興味を持たれる男性の姿も。

美意識に貫かれた形でありながら、オーダーへの対応はとても柔軟なところももう一つの魅力です。
持ち手やストラップの長さだけでなく、バッグの高さ、マチの厚さ、ポケットの大きさなど、お一人お一人の使いやすさを叶えてくれます。
やわらかな笑顔の谷田貝さんと相談する時間も楽しんでいただけるはず。

山羊革を使ったバッグも谷田貝さんの特徴の一つ。
牛に比べて小型で運動量の多い山羊は、繊維が密。
軽くて傷が目立ちにくいことも、バッグにはうれしいポイントです。
谷田貝さんが魅了されたというフランス産の山羊革は、
とても美しい表情をしています。

「リョーセンバッグ」はこの革の表情を味わえるバッグ。
A4サイズが入る大きさは、男性のビジネスバッグとしてもお使いいただけそうです。
(上はショルダーになって引手が革の結び。
 下は男性用をイメージして、手を短く、引手(ファスナー)に革の結びをつけていません。
 細やかに考えられているデザインです。)

名前もユニークな「オイナリサントート」。こちらは牛革のバッグです。
トートバッグも谷田貝さんらしい工夫が、各所に凝らされています。
その名の通り立体的でふっくらとした、自立する形。
革の魅力を存分に楽しんでもらえるよう、
表に縫い目をなるべく出さないようにデザインされています。

「ナナコバッグ」は口の部分がバネ口の仕様。
口を開けると中身が一望できて、収納力もたっぷり。
持ち手の裏や底のパイピングの革は、革見本からお好みの色をお選びいただけます。
色が変わると、雰囲気が変わるので楽しく迷っていただけると思います。

一部、 ポーチや小物類の現品販売の作品もございます。

美意識と、しなやかな柔軟性から生まれるバッグや小物。
秋冬の装いを、バッグから始めませんか。

文  瀬上尚子
写真 中川碧沙