スタッフブログ
ヒナタノオト日誌

瞬時にとらえる

2022.10.11

10月8日土曜日に初日を迎えた津村里佳さんのガラス展、
にぎわいの週末二日間となりました。

モビール、花器、食の器・・・
ギャラリー空間を満たす作品は見応えたっぷり。
今回、250点を超える作品を制作してくださいました。
すべての作品をご覧になるように店内をゆっくりと巡る方が多く、
作品の完成度の高さと充実ぶりを物語っています。

津村さんは初日、二日目ともに在店くださいました。
当初予定になかった日曜日の在店時には、
作家さんご本人とお話しできるなんて!と喜んでくださる方の姿も。

作品の説明や制作のことから器選びのご相談まで、
お一人お一人とお話しくださったり、
モビールを丁寧に梱包してくださるなど、
常に目配りと心配りをされている津村さん。
その場で必要なことを瞬時に捉える感性は、
熱したガラスという、流動的に変化する素材と常に対峙していることと無関係ではないように感じます。

そうした心配りから生まれた作品も。
今回の展覧会のために、
ギャラリーの小窓のアーチをイメージしたモビールを制作してくださいました。
(こちらはすでに完売しております。)
また、ストレート型のモビールは、
複数のモビールをお部屋に飾りたい方もいるから、
と制作された作品です。

モビールは、わずかな風を感じてゆらめく空気や
空間の広がりを感じさせてくれます。
やわらかな動きで表情を変える様子を眺めていると、
時間がゆったりと流れるよう。
壁や床には美しくゆれる影。

花器は、花や水を入れることで違った表情を見せてくれます。
いきいきとしたガラスと花、そしてガラスと水を通して映る光と影。

ガラスの作品は、向こう側に見える景色や映し出される光と影も楽しみの一つ。
作品を置く場所や、見る時間によって見える景色が変化するので、
空間に変化を与えてくれ、見飽きることがありません。

午後、ギャラリー奥の窓から光が差し込むわずかな時間、
照明を消して、自然光で作品をご覧いただいたのですが、
ガラスと光の描き出す陰影が美しい時間となりました。
目の前の光景の向こうに、お客様に選ばれた作品それぞれが、
その居場所で生み出す美しい景色が見えるようなひとときでした。

週末を終えましたが、まだまだ見応え十分な展覧会となっています。
津村さんのガラス作品が映し出す光と影に、ぜひ触れてみてください。

文  瀬上尚子
写真 中川碧沙