ヒナタノオト
作品展に寄せて

秋空の下、私が出展させていただいた昨年の「工房からの風」から数ヶ月経ち、「灯し、照らす」という言葉のもと、再び展示の機会を与えていただいたことに感謝いたします。

昨年の「工房からの風」のテーマは「火」。
ものつくりにおける「種火」はどのようなものであったかと、言うなれば自分の作品のルーツを問い、制作の始まりにあったものへと立ち戻ることを促したテーマでもありました。

私自身について、「種火」は2つありました。
一つは、繊細で緻密な描画表現のできる腐蝕銅版画、もう一つは、たまたま目にしたアンティークのポーセリンブローチ。

銅版画制作においては、腐蝕によって刻まれる金属上の繊細な線や凹凸に魅了されたこと、
アンティークブローチについては、小さな磁器メタルに描き込まれている緻密な絵付けに魅了されこと。
ある時、この2つの「魅了された」体験が、私の中で不思議にも繋がり、今ある作品になったのだろうと思います。

もともと白い紙に擦られた版画も大好きでしたから、版画も原版も···と欲張り、「凹版画と、その原版の装身具」という形で一つの作品にしています。

大切にしていることは、小さな画面であっても、緊張感をもって向き合い、ひとつひとつニードルで「描く」ということ。
ひた向きに手を動かし、「描く」ことで生まれる世界が、どこかで誰かを楽しませ、時に癒す存在になってくれたらよいと、切に願いながら日々制作しています。

銅板画・装身具:埼玉:岩田圭音(いわたたまね)

50点の力作。
見事でした。
個展、のようです。
灯し、照らす4人の仕事展に向けて、力いっぱい向かってくださったこと、ひしひしと感じました。

さくっと画像しかまだ撮れていませんので、光りの良いときに落ち着いて撮りますね。
お手入れキットまで付けてくださる心配りと作品のクオリティーに対して、ほんとうにこの価格でよいのでしょうか?
という気がいたしますが、作家活動を始められた今だからなのかもしれません。
ぜひ、今の岩田圭音さんの作品、ご覧ください。

稲垣早苗